2016 年 72 巻 1 号 p. 19-30
本研究は,点検結果の評価方法が異なるため,これまで比較できなかった都道府県の橋梁点検データを同一の視点で解釈可能なデータに基準化すると共に,基準化したデータの分析により都道府県が行っている修繕対策優先度の決定要因を明らかにすることを目的とする.はじめに各県の部材別損傷種類別点検データを共通の基準で解釈するため,各県のデータを3段階の評価区分へと集約する手法を構築した.次に,これらの同一基準化された橋梁点検データを都道府県単独又は地区内の複数県のデータを組み合わせてロジスティック回帰分析し,対策優先度の決定に寄与している地域別,橋種別の橋梁諸元又は健全度判定要因を明確にした.さらに,「道路橋定期点検要領」と分析結果の比較により点検結果の保存と蓄積を規定されたデータ項目の課題を明らかにした.