2016 年 72 巻 4 号 p. I_89-I_96
地元をよく知り機動力を有する建設業は地域の持続可能性に大きな役割を担ってきた.しかしながら,公共事業の削減や就業者の減少に伴い,余力を失った現在の企業がその要請に十分に応えた経営を行うのは困難である.このため,行政が地元の建設企業を積極的に維持することの問題意識が高まっている.しかし,どれほどの建設企業を維持するかの考え方や,企業を積極的に維持せずに現行の体制のもとでどのような方策がありうるか,それらの社会的な損失がどれほどかが不明であり,具体的な議論への発展を阻害している.本研究では,災害対応を対象としてこれらの分析の枠組みを提示し,どのような検討が可能になるのかを数値実験を通じて示す.