本論文は,「直庸技能者活用戦略検討のためのモデル」を用い,現状の下請技能者を用いる場合に対して,直庸技能者を想定した場合,或いは,直庸技能者のユニオンを想定した場合の長期的(50年間)シミュレーションを実行し,技能継承の程度や生産性,工事利益を定量的に評価し,各戦略を実行する効果と課題を示すものである.検討の結果,直庸技能者を雇用することは待機人材を抱えるリスクを負うものの,一企業として人材不足や技能低下のリスクを回避できる一策であること,技能者のユニオンを形成することで,元請企業による直庸技能者の待機人材リスクを緩和することが可能となり,技能継承の向上も見込めることが示された.