抄録
本論の目的は,各地方の公共事業の担い手である中小建設業者が,災害時のボランティア活動の担い手と連携することにより,CSR(企業の社会的責任)を果たせる可能性があることを,先進事例から検討することである.まず,欧州で生まれたCSRの本来的な定義について確認し,建設業における「社会問題と本業との統合」は何を意味するかについて考察する.次いで,災害ボランティア活動は地元密着型の中小建設業との親和性が高いことを示し,建設業が従来行ってきた「災害協定」に基づく復旧工事の実施による社会貢献だけでなく,災害時の被災地支援活動を行うNPO等支援団体や社会福祉協議会等との積極的な連携により,より直接的に市民の信頼を獲得できる可能性があることを述べる.