抄録
国土交通省直轄工事における技術提案・交渉方式は,平成30年5月現在,「淀川大橋床版取替他工事」,「二重峠トンネル工事」,「犀川大橋橋梁補修工事」の3工事が施工契約を締結している.著者らは,これらの技術提案・交渉方式を適用した3工事の施工契約締結までの手続過程において,発注者,施工者,設計者の異なる立場から認識された課題を収集し,それらを分析することにより,施工者による技術協力等の実施期間,技術提案の評価項目と履行義務,ヒアリング,技術対話,リスク分担,工事費の確認方法等について,従来からの設計・施工分離発注方式,設計・施工一括発注方式にはなかった技術提案・交渉方式としての考え方を明確にした.また,設計・施工一括発注方式の適用工事におけるリスク発生状況を分析し,設計・施工一括発注方式と技術提案・交渉方式の適用条件の考え方を明確にした.本稿は,これらの検討を踏まえ,技術提案・交渉方式の新たな手続実施方法を提案するものである.