2020 年 76 巻 1 号 p. 42-50
橋梁点検は,点検技術者による近接目視点検を行うため損傷確認,計測,記録,写真撮影等の多くの作業を高所の限られた作業空間で行うことが一般的で,危険を伴う現場作業である.そのため点検技術者の作業負担低減とより安全で確実な点検を実現するため,ロボット化が有効と考えられている.ロボット化には特にドローンを利用する方式が多く試みられているが,我々は,点検者による現地の安全な場所での損傷確認と,計測,記録,撮影をロボットで実現することを目標として,ワイヤ支持方式を選択した.その上で対象となる橋梁の特性を分析して仕様を定め,従来の手法では課題となっている設置や,狭隘部への進入,広い適用範囲などを実現し,実橋実証実験で実用性を立証した.