2021 年 77 巻 1 号 p. 69-82
高架下を移設が困難な機器室等に使用している橋脚に対して,機器室等に支障をきたさないように,橋脚側面のみに補強部材を設置して主鉄筋段落し部を曲げ補強する耐震補強工法(側面補強工法)を開発した.本論文では,実橋脚の耐震補強工事における問題点を踏まえて開発に至った背景を示し,橋脚を模擬したRC製の既設部材側面にRC製の補強部材を設置した縮小模型試験体の載荷実験を行った結果から側面補強工法の設計方法を構築した.設計方法の検討に関しては,曲げ補強効果を発揮するために必要なアンカー鋼材量を検討した実験結果を示した.次に,側面補強工法で特有な施工方法を示し,側面補強工法の実橋脚への適用事例を紹介した.最後に,高架下を機器室として使用している橋脚の耐震補強に側面補強工法を適用することによる効果について述べた.