2021 年 77 巻 2 号 p. I_70-I_89
平成30年北海道胆振東部地震により,札幌市清田区里塚地区では盛土末端部における大量の土砂流出や2mを超える地盤沈下が発生するなど,甚大な被害に見舞われた.発災後には街区内約140の宅地居住者のうち約半数が避難生活を強いられ,地域コミュニティの維持・存続が危ぶまれた.これに対応するため,札幌市では過去の震災から得た教訓を踏まえ徹底的に速さにこだわりながら,地域からの信頼確保に努め復旧・復興を進めた.発災から3か月で対策工の合意形成,半年で工事着手し被災者に見通しを示し,住宅再建を支援する先手の情報発信と,現地事務所における被災者へのきめ細やかなフォローアップを行いながら,2年で復旧工事を完了した.その結果,被災住民の約9割が現地再建を希望,発災2年半後にはその多くが完了し,早期の市街地復旧に繋がった.