2022 年 78 巻 1 号 p. 148-163
人口減少・節水型社会への移行や産業構造の変化等に伴う水需要・料金収入の減少,水道施設の老朽化の進行・耐震化による改築・更新費用の急速な増大など水道事業は厳しい経営環境にある.2018年の水道法改正では,水道事業でもコンセッション方式の導入が可能となるなど,新たな民間活力導入による経営改善の可能性が期待されている.一方,その導入には,事業のリスクや採算性を適切に分析・評価し,公共サービスとしての特性を十分踏まえた契約方式の採用・運用が不可欠といえる.本研究は,水道3事業の経営シミュレーションモデルを構築するとともに,バンドリング・コンセッション方式の導入効果と課題について定量的に分析・考察することを目的とする.