2022 年 78 巻 1 号 p. 164-183
統計的劣化予測のために,マルコフ劣化ハザードモデルなど,点検間隔が不均一である点検データベースを用いたマルコフ推移確率の推定手法が多く提案されており,実務への適用事例も多く存在する.しかし,それらの手法は専門性が高く,実務者による活用に技術的な障壁があることが少なくない.一方,点検データベースの数え上げ手法は概念的に理解が容易である反面,点検間隔が不均一である場合への適用が困難とされてきた.本研究では,点検間隔が不均一である点検データベースを点検間隔が均一となるように疑似的に再構成することにより,点検間隔が均一である場合の数え上げ手法への帰着を図る.最後に,提案手法の有用性を実橋梁の点検データベースを用いて検証するとともに,提案手法と既存手法の関連性や実務への適用可能性について論じる.