抄録
地方鉄道の廃止が相次いでいる一方で,LRTへの期待が高まっており,各地でその導入が計画されている.昭和28年以降,連続で赤字経営を余儀なくされている熊本電鉄でも,路線の都心乗り入れとシステムのLRT化を骨子とした計画案を発表した.本報告では,沿線住民を対象に実施したアンケート調査より,沿線住民のLRTへの転換や自治体の財政支援に対する意向を明らかにした.また,非集計型手段選択モデルによる交通機関分担プロセスと交通機関別詳細ネットワークへの均衡配分プロセスを含む技法による需要予測,および「鉄道プロジェクトの費用対効果分析マニュアル991)」に準拠した費用便益分析を行った.その結果,本LRT化計画案は社会経済的効率性だけでなく事業採算性も高いプロジェクトとなる可能性があることが示された.