抄録
現在,道路整備の便益計測は交通市場のみに着目した計測方法が一般的である.しかし,この方法は完全競争経済においてのみ正確な計測方法であり,市場の失敗のある経済においては用いることができない.本論文は市場の失敗の原因として,商業における空間的価格競争を取り上げる.空間的価格競争が存在する場合,道路整備の便益は交通市場からだけでは観察できない.本論文では,商業立地形態に関して(I)郊外に大規模商業施設のみが立地,(II)郊外において大規模商業施設と小規模商業の2種類が競合立地,(III)郊外と都心に立地する商業施設が競合する3パターンを想定し,道路整備を行った際に各地点の商業立地や地点別の価格付けがどのように変化するかを示すとともに,便益計測手法を提案する.