抄録
現在,人口減少や高齢化が,日本をはじめとして先進国の多くで進んでいる.経済に様々な影響を与えることが懸念されている人口減少や高齢化は,都市における居住分布にも影響を与えると考えられる.そこで本研究は,人口減少や高齢化を含めた人口動態が都市内居住分布と厚生に与える影響に関する理論分析を行う.モデルとして,若年層と高齢層を取り扱うために世代重複モデルを用い,都市空間を表現するためにアメニティ水準の異なる2ゾーンで構成されるclosed cityとする.主体としては,2期間耐久する住居用ビルを供給するデベロッパーと2期間生存する住民が存在している.結果として,人口動態変化やゾーン間のアメニティ水準差が年齢階層別の人口分布パターンと世代ごとの厚生へ与える影響を示す.