2007 年 63 巻 3 号 p. 379-390
土木構造物デザインにおいては,「シンプル」が良いとしながらも「単調さ」は避けるべきと一見矛盾したことが言われている.本研究は同様の矛盾を孕む都市内高架橋を対象に,輪郭線解像度を定義し,輪郭線解像度別にフラクタル解析,部材の方向性分析を行うことにより,この矛盾の一端を解きほぐし,併せて評価実験を用いて,評価の高いデザインの方向性を見いだそうとするものである.その結果,修景された高架橋は非修景のものと比べ評価も高く,そのデザイン的な操作は,粗い解像度においてはフラクタル次元をやや低くシンプルにするもの,あまり変えないものがあった一方で高解像度域に関しては,全て,部材の方向が揃った細やかなディテールという共通の特徴が明らかとなった.