土木学会論文集D
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和文論文
災害後の応急・復興住宅政策がもたらす便益フローの定量評価
藤見 俊夫多々納 裕一
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2009 年 65 巻 3 号 p. 399-412

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抄録

 適切な応急・復興住宅政策を実施するためには,その政策で実現されるであろう便益を定量評価しておくことが望ましい.それには,まず,住宅損壊に伴う居住環境質の悪化がもたらす負の便益を推定する必要がある.本研究では,避難時,応急時,復興時における住居選択行動を表明選択法に基づき分析し,被災による住宅損壊のため自宅以外での生活を余儀なくされることで生ずる被害額を推定する具体的な手順を提案した.この手法を,新潟県長岡市の世帯と中越地震により仮設住宅に居住している世帯を対象として適用し,被害額を住居属性や世帯属性に応じて推定した.また,自宅の価値が非常に高いことから,復興支援政策で最も効果的なものは,自宅の迅速な修復・再建を補助する政策であるとの示唆が得られた.

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© 2009 社団法人 土木学会
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