抄録
社会資本整備の計画プロセスにPI(パブリックインボルブメント)を導入する事例の蓄積に対応して,計画プロセスやPIの標準的なありかたを示すガイドラインが整備されてきている.しかし,これらの記述は多様であり,その運用方法によってはPIが形通りに実施されかねず,個別の計画検討においてPIが積極的に実施されなかったり,PIの意義や目的が誤られたり失われたりする場合も懸念される.本稿では,これらをPIの形骸化と捉え,これが生じ得ることを指摘した上で,実際のガイドラインの記述からPIの形骸化に関する論点を抽出した.さらにこれらを類型化し,PIの形骸化に至る問題構造を明らかにするとともに,ガイドラインを運用する際の留意事項を構造化して提言した.