抄録
炭酸化前後の微細空隙構造の変化と物質平衡・移動の強連成に立脚した炭酸化モデルの構築を行った.既存モデルの水酸化カルシウム反応系に新たにC-S-Hゲル反応系を追加し,微視的機構に基づく空隙構造の変化を再現した.水分・二酸化炭素の移動・平衡,ならびにセメント水和物の炭酸化反応との相互連成を考慮することで,低濃度から高濃度にわたる任意の二酸化炭素濃度に曝されるコンクリートの炭酸化進行を精度よく予測することに成功した.さらに拡散移動,溶解平衡,ならびに反応速度に対する温度依存性をモデルに組み入れることで,種々の温度環境における炭酸化反応を追跡することが可能になった.