土木学会論文集E
Online ISSN : 1880-6066
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63 巻, 2 号
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和文論文
  • 藤本 明宏, 渡邊 洋, 福原 輝幸
    2007 年 63 巻 2 号 p. 202-213
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/21
    ジャーナル フリー
     路面薄雪氷層のアルベドと透過率を定量的に評価し,熱・水分移動の連成解析による路面雪氷状態モデルを提案するとともに,室内実験から得られる雪氷温度,雪氷厚および質量含氷率について,計算結果と実験結果との比較検討を行った.
     その結果,アルベドは雪氷厚,質量含氷率および雪氷密度で,透過率は雪氷厚および水,氷および空気の体積割合で規定されることが分かった.これらのアルベドや透過率の特性を組み込んだ路面雪氷状態モデルは,融雪過程における雪氷温度,雪氷厚および質量含氷率の経時変化を概ね再現することができた.
  • 岩下 健太郎, 呉 智深, 坂本 宏司
    2007 年 63 巻 2 号 p. 214-222
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/21
    ジャーナル フリー
     著者らは水中構造物に対しても施工が比較的容易で,高度な耐腐食性を実現できる補修・補強技術の構築を目指し,比強度,比剛性や耐腐食性に優れる炭素繊維グリッド複合材を水中硬化型エポキシ樹脂で構造物表面に接着する補強技術の開発を進めてきた.本研究では,水辺や水中に設置されたコンクリート橋脚を曲げ補強する場合に,フーチング部に削孔し,FRPグリッドの端部を埋め込むことで定着する方法を提案した上で,既往の定着強さの評価方法に基づき,FRPグリッドの付着強さを実験的に評価した.また,FRPグリッドの埋め込み部にグリッドを接着・増し厚し,断面積及び剛性を増加させる方法により,定着性能の向上を目指した.さらに,以上の研究成果を基に,CFRPグリッドの引き抜き強さを算定する簡易設計式を提案した.
  • 浅井 洋, 長田 光司, 野島 昭二, 藤原 保久, 池田 尚治
    2007 年 63 巻 2 号 p. 223-234
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/21
    ジャーナル フリー
     外ケーブル補強工法の定着装置は,既設桁ウェブ側面にPC鋼棒を用いて緊結している.このような構造では,既設桁の打継面の処理方法や緊結力,主桁の傾斜角度は,定着装置の滑動する荷重に大きな影響を及ぼす要因と考えられる.本稿では,実物大試験体の載荷試験を行い,これらの要因について検討した.その結果,従来,打継処理に用いられてきたチッピング処理に比べ,サンドブラスト処理やウォータージェット処理を行うと,最大荷重は大幅に増加することが示された.また,定着装置を既設桁の傾斜した位置に設けると,傾斜角に応じて最大荷重は低下するが,適切な打継処理を行った定着装置のPC鋼棒張力は,定着装置の滑動変位が小さければ損失しないことが示された.
  • 松家 武樹, 堺 孝司, 中村 俊之, 梅沢 健一, 草薙 悟志, 佐藤 淳一
    2007 年 63 巻 2 号 p. 235-249
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/21
    ジャーナル フリー
     著者らは,これまで香川県豊島の産業廃棄物溶融スラグのRC梁への適用性を調べるために,細骨材に溶融スラグを40%置換したコンクリートの強度特性,RC梁の耐荷力,たわみ,およびひび割れ挙動について検討してきた.本研究では,スラグ置換率40%と,極端なケースとしてスラグ置換率100%の場合のRC梁の力学的挙動並びに鉄筋の付着特性について検討を行い,これらの結果を総合的に評価した.その結果,スラグ置換率40%の場合の,コンクリートの強度特性,RC梁におけるひび割れ挙動および鉄筋の付着応力-すべり関係などに及ぼすスラグの影響は小さいことが明らかになった.また,スラグ置換率100%の結果から,スラグの可能置換率は水セメント比により異なることが示唆された.
  • 藤本 明宏, 渡邊 洋, 福原 輝幸
    2007 年 63 巻 2 号 p. 250-261
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/18
    ジャーナル フリー
     本研究では,車両熱を構成するタイヤ摩擦熱,車両底面輻射熱および車両誘発顕熱を室内および野外実験により定量的に評価し,定式化した.これを基に,車両熱フラックスの時間変化を考慮した瞬間モデルと,実用的見地からその熱フラックスを時間均等配分する時間平均モデルを提案し,両者の比較を行なうとともに,乾燥路面温度に及ぼす車両熱の影響を検討した.
     その結果,両モデルから計算された路面温度は最大で0.2℃の差が生じた.また,タイヤ通過部の路面温度は,非走行部のそれと比較して,早朝で0.3℃高く,昼間で3.4℃低くなった.これにより,交通量が多いときには車両熱は路面の熱収支にとって無視し難い因子に成り得ることが示された.
  • 藤井 隆史, 藤木 昭宏, 綾野 克紀, 阪田 憲次
    2007 年 63 巻 2 号 p. 262-273
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/18
    ジャーナル フリー
     鉄鋼スラグ水和固化体は,原料に製鉄工程により生じる副産物を活用し,通常のセメントコンクリートと同程度の20~50N/mm2の強度発現が可能なコンクリートである.しかし,鉄鋼スラグ水和固化体は,通常のAEセメントコンクリートに比べて凍結融解抵抗性が低いことも知られており,使用可能な地域が温暖な地域に限定されることから,その改善が求められている.本研究は,鉄鋼スラグ水和固化体の凍結融解抵抗性が劣る原因および凍結融解抵抗性を改善する方法を示し,リサイクル材料を主原料にした鉄鋼スラグ水和固化体が,一般のコンクリートと同様に建設材料として有効活用される技術開発を目的としたものである.
  • 石田 哲也, 李 春鶴
    2007 年 63 巻 2 号 p. 274-286
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/18
    ジャーナル フリー
     炭酸化前後の微細空隙構造の変化と物質平衡・移動の強連成に立脚した炭酸化モデルの構築を行った.既存モデルの水酸化カルシウム反応系に新たにC-S-Hゲル反応系を追加し,微視的機構に基づく空隙構造の変化を再現した.水分・二酸化炭素の移動・平衡,ならびにセメント水和物の炭酸化反応との相互連成を考慮することで,低濃度から高濃度にわたる任意の二酸化炭素濃度に曝されるコンクリートの炭酸化進行を精度よく予測することに成功した.さらに拡散移動,溶解平衡,ならびに反応速度に対する温度依存性をモデルに組み入れることで,種々の温度環境における炭酸化反応を追跡することが可能になった.
  • 馬場 勇介, 笠井 哲郎
    2007 年 63 巻 2 号 p. 287-299
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/18
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,極初期材齢におけるセメントペーストの体積変化に及ぼす自己乾燥の影響を明らかにすることである.そこで,セメントの水和反応とセメント硬化体内部の自己乾燥状態が密接に関連していることに着目し,セメントの水和反応の進行程度を表す指標として水和収縮率を用い,水和収縮率-体積変化および水和収縮率-間隙水圧の相互関係に基づいて,極初期材齢における巨視的な体積変化に及ぼす自己乾燥の影響を定性的に評価した.さらに,収縮低減剤および膨張材を用いた場合の収縮低減機構についても検討を行った.その結果,極初期材齢におけるセメントペーストの体積変化は,水和反応に伴った自己乾燥にも起因しており,低水結合材比の場合ほどその影響が強く表れることが明らかとなった.
  • 花岡 大伸, 矢野 真義, 宮里 心一
    2007 年 63 巻 2 号 p. 300-312
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/06/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,塩害により劣化した鉄筋コンクリート梁の腐食が曲げ性状に及ぼす影響を明らかにした.そのため,腐食形態(局部腐食,全面腐食)が異なる供試体を用い,鉄筋の腐食減量が5~60%における,鉄筋の力学性状および梁の曲げ性状を評価した.その結果,1)腐食量が増加すると,腐食形態に拘らず,梁の降伏荷重,曲げ剛性,および終局荷重は低下した.2)局部腐食では腐食減量が約40%の場合,一方全面腐食では腐食減量が約60%の場合,それぞれ終局荷重が約50%に低下した.また,局部腐食では,終局時に急激な破壊に至り,極めて危険な状態になることが示唆された.3)腐食減量が約30%以上になると,腐食形態に拘らず,降伏荷重および曲げ剛性が著しく低下し,変形量が増加した.4)上記1)の結果は,理論的にも検証された.
  • 齋藤 修一, 田邉 成, 三島 徹也
    2007 年 63 巻 2 号 p. 313-326
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/06/20
    ジャーナル フリー
     鋼管内にコンクリートを充填し,鉄塔脚を模した鋼管あるいは山形材に支圧板を取り付けた脚材をその中に埋め込んだ定着方式の引抜載荷試験を実施した.試験体のパラメータは定着長,鋼管径,鋼管厚,コンクリート強度等とした.その結果,鋼管が薄いと鋼管が周方向に降伏することによって,脚材が抜け出す破壊モードであった.鋼管が厚いと支圧板の先端を結んだコンクリートに破壊面が生じて脚材が抜け出す破壊モードであった.模型実験で確認した2種類の破壊モードを考慮した耐力算定式を提案し,実験と比較した結果,精度の高さが確認された.
  • 浅本 晋吾, 石田 哲也, 前川 宏一
    2007 年 63 巻 2 号 p. 327-340
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/06/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,コンクリートの収縮に対して影響を与える骨材の各特性について,実験・解析双方から総合的な検討を行い,コンクリートの収縮と骨材特性の連関を定量的に把握することを目的とした.複合構成モデルを用いた解析を通して,骨材の弾性係数ならびに吸水率のみでは,骨材種の相違によるコンクリートの収縮挙動を合理的に説明できないことが明らかになった.そこで既往の研究で報告されている骨材自身の収縮特性に着目し,骨材の比表面積および内部飽和度の関数として体積変化モデルを提案した.その結果,骨材の種類によって大きく異なるコンクリートの収縮挙動を適切に予測することが可能となった.
  • 八若 幹彦, 檜貝 勇, 中村 光, 斉藤 成彦
    2007 年 63 巻 2 号 p. 341-356
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/06/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,スラブ状RC構造物の押抜きせん断破壊性状に対して我々が提案する非線形三次元有限要素法の適用性を検討したものである.
     これまで,RC構造物の押抜きせん断破壊耐力算定に関する解析的な研究は少なく,主として経験的なアプローチが数多くなされてきたが,本研究では,載荷位置を変化させた薄いRCスラブおよび,フーチングのようなやや厚みのあるスラブや曲げモーメントを受ける柱付きフーチングの押抜きせん断実験結果とFEM解析結果の比較検討を行った.その結果,著者らが開発した解析方法によって,耐荷力,斜めひび割れ性状および,荷重-変位関係において実験結果を概ね捉えられる事が示された.
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