抄録
これまでに著者は,学習者が水理学に否定的な感覚を抱く要因を指摘してきた.その要因の解消・軽減を踏まえた効果的な教育実践手法の確立を目的として,本論文では,幾つかの目標を設定したうえで学習内容を構成し,それを演習授業のなかで実践した.そのうえで,アンケートに基づいてその教育的な効果を検討した.その結果,全回答者のおよそ2割が,エネルギー保存則と運動量保存則を理解し,これらを応用した諸問題の解決能力を向上させたと判断された.また,グループ課題での学び合いが,学習意欲の継続と知識の深まりを促し,設定された目標の達成が確認された.さらに,十分な回答数ではないものの,学習者の質問・感想を公開し,それらに回答することでも,学習意欲の維持につながることが認められた.