抄録
生分解性高分子材料であるレーヨンの表面に,抗菌処理剤DC5700とポバール(PVA)をコーティングして,環境中におけるレーヨンの生分解を抑制する研究を行った.活性汚泥中,バーク堆肥中において,DC5700のコーティングの有無によるレーヨンの分解期間を比較したところ,含水率が56 wt%以下の条件ではコーティングをしたレーヨンの分解期間が顕著に長くなることを確認した.また含水率が40 wt%以下の条件では,DC5700に加えてPVAをコーティングすることで,分解期間がさらに長くなることが分かった.分解に供したレーヨンに残存するDC5700を染色した結果,低含水率の環境においては,PVAによるコーティングがレーヨンからのDC5700の剥離を抑制し,レーヨンの分解を遅らせる効果のあることが示唆された.