抄録
本論文では,将来水需要量の不確実性を考慮し,経済性と堅実性の2つの目的を有する管路更新計画モデルを提案する.経済性については,総費用期待値の最小化を取り扱う.堅実性については,将来水需要量の不確実性が費用の変動幅として現れるものとし,その最小化を取り扱う.経済性並びに堅実性を単一の目的とする線形計画モデルをそれぞれ定義し,その上で,ファジィ線形計画法を適用して2つのモデルの特徴を兼ね備えたモデルの定式化を行う.ケーススタディにおいて,提案したファジィLPモデルが,2つの目的をバランス良く達成する点で各単一目的のLPモデルよりも優れていることが明らかとなり,その有用性が確認された.さらに,計画案の比較を通して,管路更新における経済性と堅実性の意義を考察した.