2022 年 53 巻 1 号 p. 43-48
本稿では「臨床現場で業務がうまくこなせない新人医療者」の理解に向けて, 具体的な架空事例を挙げてその理由を3つの視点から検討し, それぞれの支援例を示した. 1つ目は, 環境因子の視点から「学習者の性格と環境の齟齬」と「学習者自身の環境の困難さ」の可能性で, 本人と環境とをいかにマッチさせていくかが重要である. 二つ目は, 臨床心理学の視点から「双極性障害」の可能性であり, 専門医を受診し, 診断に応じた専門的な治療的介入が必要となる. 三つめは, 神経発達症の視点から「注意欠陥・多動症」の可能性であり, 自己理解と特性に見合った周囲の関りが重要となる. 周囲のスタッフを含む職場環境の整備も重要である.