2011 年 67 巻 6 号 p. II_151-II_162
Kuhn-Tucker modelは,近年研究され始めた顕示選好データを用いた便益評価手法であり,端点解を柔軟に利用可能なことが特徴である.顕示選好データを用いた便益計測では,関数形の選択が便益値に影響することは広く知られている.一方,Kuhn-Tucker modelでは,効用関数の形状が便益計測に与える影響について検証した研究は少ない.そのため,本研究は6種類の効用関数形を用い,関数の形状と便益値の関連性を分析した.宮城県の26箇所の海水浴場のレクリエーション活動のデータから年当たりの便益計測を行ったところ,Phaneuf and Siderelis (2003)もしくはWhitehead et al.(2010)で用いられた関数形による便益計測が望ましいという結果が得られた.