抄録
副産物として発生する稲わらは未利用/低利用のものが多く,食糧との競合回避の観点からも有望なエタノール原料として期待されている.既にエネルギー消費や温室効果ガス排出の抑制への有効性は確認されているが,稲わらの生産やエタノール精製プラントの土地占有による生態系への影響が懸念される.そこで本研究では,稲わらを原料としたエタノールについて生態系への影響を含めた環境影響評価を行った.
稲わら生産やエタノール精製プラントの土地占有による生態系への影響は,評価手法によって差は見られるが,いずれの手法に基づいた場合でも環境影響全体に対して大きな割合(72~83%)を占めていた.現状ではガソリンに比べて稲わらを原料としたエタノールは土地占有の影響を含めた環境影響が大きく,その低減には精製プラントの稼働率や生産性の向上が不可欠である.