抄録
近年,水需要が横ばいから減少に転じる水道事業体が増えており,世帯レベルや各使用目的での水需要構造を捉えて予測することが必須となってきている.しかし,水需要構造の詳細な調査や分析に基づいた予測例は少ない.本稿では,2期にわたって利用者の属性,水利用実態,水使用量を世帯単位で捉え,その調査結果を用いて,数量化理論I類による需要構造分析を行い,原単位水量の予測を行った.その結果,世帯人数別に構造は異なっているものの,主たる影響要因の抽出は可能であることが分かった.しかしながら,10年程度の間に構造変化が起こっていることが明らかとなった.このため,影響要因の抽出を継続的に行うなど,この種の手法を用いた需要予測を行う際の課題に対する留意・検討すべき点を,分析結果を用いて整理した.