2012 年 68 巻 5 号 p. I_305-I_312
本論文では近年増加してきている局地的豪雨災害に対し,小規模集落での課題と支援方策について検討を行った.2010年に発生した奄美大島豪雨災害を事例として,社会調査と簡便な氾濫解析を行った.これらより,公助としては災害イメージの固定化(水害=台風)や既往最大のみに対応していることの問題点を指摘した.共助の観点からは平日昼間という災害時の支援者不在状況の避難計画の必要性を指摘した.自助からは,事前に決めている避難のタイミング等が機能しないこと,災害に対する誤った認識があることを指摘した.誤認識に対しては,簡便な氾濫解析でも是正可能であることを示した.