抄録
本研究は,世界のGHG排出量半減達成の可能性を検討するために,世界を35地域に区分し,その地域ごとの削減目標達成のフィージビリティを推計した.具体的には,エネルギー集約度(EI),炭素集約度(CI)に対し,過去のトレンドや既往の将来シナリオの変化率を用いて将来変化の幅を求め,これを予想される経済成長率と組み合せることによってGHG排出量を推計し,この結果をいくつかの排出割当スキームから要請される国別削減目標と比較した.その結果,これまで想定されてきた将来シナリオのうち比較的速いEIとCIの改善速度(上側5%タイル値)と低経済成長の組み合わせの時にのみ,世界半減目標が達成できたが,高経済成長の場合は,1990年比削減率は32.5%に留まり目標には及ばないことが分かった.