2012 年 68 巻 6 号 p. II_89-II_98
本研究では,人口減少および低炭素社会への移行の中で,ごみ焼却施設を更新していくシナリオの構築に基づき,広域化とエネルギー回収を評価する手法を開発した.兵庫県を対象に2010年から2030年のコスト,CO2排出量,総発電量,リサイクル率,最終処分量を算定した.広域化シナリオは,Bauシナリオよりも収集コストは増大するものの,施設運営・管理にかかるコストを低減できるため,両シナリオには差がないことを明らかにした.また,発電の効果を売電収入およびグリーン電力としてCO2削減に計上すると,わずかに広域化シナリオの方が優位となった.総発電量に限って言えば,広域化シナリオでは,Bauシナリオの2倍近い発電量が得られ,地域エネルギー供給施設の拠点となり得ることが示唆された.