土木学会論文集G(環境)
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環境工学研究論文集 第49巻
流速変化が5尾で遊泳するアユの挙動に及ぼす影響
鬼束 幸樹秋山 壽一郎三原 和也白岡 敏
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2012 年 68 巻 7 号 p. III_239-III_244

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抄録

 Partridgeはコイ科魚類の一種が2尾で遊泳する場合は特定の1尾が主としてリーダーとなって遊泳するのに対し,3尾以上ではリーダーが存在しなくなることを発見した.そのため,「各個体が遊泳特性を群れの他の個体全てと一致させようと絶えず調整している3尾以上のグループ」が魚群であり,2尾以下は魚群ではないという定義が定着している.鬼束らは流水中において,1尾,2尾および3尾で遊泳するアユの遊泳軌跡を直線と屈折でモデル化し,遊泳特性を定量的に評価した.しかし,尾数の変化による3尾以上の魚群の挙動を定量的に評価した実験はほとんど行われておらず,魚群内の尾数変化に伴う魚群行動に及ぼす影響を評価した実験はほとんど行われていない.本研究は流速を系統的に変化させて,5尾で遊泳するアユの挙動を解析したものである.その結果,流速の増加に伴う遊泳挙動の定性的傾向は,3尾の挙動と一致し,5尾は3尾に比べ流速の増加に伴う個体間距離の変化が小さいことから魚群特性が強く働くことが判明した.

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