抄録
荒川流域をモデルに,都市部の水源として量的に最も利用ポテンシャルが高い下水処理水を,河川環境改善用途で利用することに対する住民の受容性の評価を行った.その結果,利用に賛成する人の割合は全体としては78.9%に達したと同時に,下水処理水の水質に対する信頼性は高いことがわかった.処理水利用の賛成率は,居住地周辺の自然環境および河川環境の評価が低い人で高く,処理水導入により,これらの環境が改善することを望んでおり,特に生き物の生息場所の維持に対する期待が高いことが明らかになった.実際に導入を検討するにあたっては,水質改善がもたらす二次的な効果に着目することが重要であると考えられた.