抄録
藻類由来有機物による膜ファウリングに対して,前塩素処理の有効性を検討するため,セラミック膜を用いた膜ろ過実験を行うとともに,塩素処理前後の化学特性及び分子量分布の測定を行った.その結果,全ての塩素処理条件下で溶存有機炭素及び中性糖の濃度が上昇することが示された.一方で,たんぱく質については,4-8 mg・L-1の塩素処理濃度でその濃度が減少する結果となった.さらに,分子量分布については,塩素処理により主要な分子量のピークが低分子に移動したことが示された.また,膜ろ過実験においては,全ての塩素処理条件下で不可逆的膜ファウリングが抑制されたことから,前塩素処理を行うことで有機物が変性し,凝集フロックの形成に影響を与えたことで膜ファウリングが抑制されたと考えられた.