抄録
化合物の安定同位体比は食物網解析のためのツールとして期待されているが,餌と動物間の必須脂肪酸の同位体分別がどの程度生じるか未解明である.そこで本研究では必須脂肪酸の炭素安定同位体比の濃縮係数を算出するために,ゼブラフィッシュDanio rerioを用いて100日間の飼育実験を行った.その結果ゼブラフィッシュの20:4n-6を除く必須脂肪酸-炭素安定同位体比は餌の値に漸近していき,濃縮係数は0‰とみなすことができた.20:4n-6は他の必須脂肪酸と比較して個体毎のばらつきが大きく,これは体内での必須脂肪酸の代謝が関与しているためと考えられた.必須脂肪酸-炭素安定同位体比の濃縮係数は0‰であることが明らかとなり,必須脂肪酸の炭素安定同位体比は餌源の解析に適していると考えられた.