2012 年 68 巻 7 号 p. III_681-III_690
人口減少が進む小規模下水道事業の持続的経営についてとりあげた.人口の減少が著しい場合には,一般に検討されている現施設の長寿命化が,必ずしもLCCの低減につながるとは限らない.現施設を長寿命化することにより,より人口減少に対応した新施設を建設することができる反面,過大な現施設を長期にわたり使用するデメリットもある.またLCCそのものだけではなく,人口減少による負担者の減少も考慮する必要がある.このような点をケーススタディをもとに具体的に検討し,長寿命化は人口減少社会においては費用負担者が減少するために必ずしも得策とはなり得ず,検討事例の場合には長寿命化を行わずに一部に浄化槽を取り入れた施設更新が適切であること等の結果を示した.