抄録
本研究では,同流域の有機系廃棄物の農業循環性に着目し,農業でのリン収支モデルを構築した。同時に,流域内の300世帯に対し有機系廃棄物管理の実態調査を行い,その調査結果と既往データをモデルに適用することで,流域内の各行政区において1980年から2010年までの農地のリン収支を求めた。
その結果,1980年から2010年にかけて流域全体での有機系廃棄物の発生量は16,395 t-P/yearから44,363 t-P/yearへ急激に増加していることが示された。また2010年の未利用有機系廃棄物発生量は21,663 t-P/year,化学肥料使用量は26,536 t-P/yearと推計された。同流域においては,発生する有機系廃棄物を流域内で農業用栄養塩資源として受入れることが潜在的に可能であると言える。