抄録
土壌および水域のヒ素汚染は人間の健康や食糧の生産に大きな影響をもたらす.本研究では,東北地方太平洋沖地震津波によって海底堆積物が打ち上げられた宮城県沿岸部土壌のヒ素含有量の状況を知るための調査を行った.県内主要河川の沖積平野部において,津波被災域と非被災域の土壌サンプルを採取し,ヒ素含有量を測定した.その結果,全ての沖積平野部において,津波被災域のヒ素含有量平均値は非被災域の平均値より高いことが明らかとなった.また,各河川流域の地質構成や産業活動によって,河川沖積平野部および津波堆積物のヒ素含有量は異なることが知られた.さらに,津波堆積物によってもたらされたヒ素は,7ヶ月~1年の時間経過によって下層の土壌に移行して従来土壌のヒ素高濃度化を引き起こしていることが知られた.