2013 年 69 巻 1 号 p. 10-18
東京の地下水を対象に塩素酸イオン,過塩素酸イオンの実態調査を行った.試料は2007,2009年に採取した.塩素酸イオンは49試料中24試料が,過塩素酸イオンは52試料中28試料が定量下限値以上の濃度で,その割合は被圧地下水より不圧地下水や湧水で高かった.試料の25%程度は塩素酸イオンまたは過塩素酸イオンが比較的高い濃度で存在し,塩素酸イオンでは1試料で水道水質基準値を超えていた(2000 μg/L).東京の地下水は,国内の他の地下水(市販のナチュラルウォーターや専用水道の原水)に比べ,これらイオン濃度が高い試料は多かったが,定量下限値以上の濃度の試料の割合は最も低かった.これらイオン濃度が比較的高かった地下水では,その多くが水道水や下水の影響を受けている可能性が考えられた.