土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
和文論文
水田の灌漑方法および農地利用の相違による水質浄化に関する調査研究
山嵜 高洋石川 重雄長坂 貞郎笹田 勝寛河野 英一
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 69 巻 4 号 p. 183-195

詳細
抄録

 印旛沼流域の低平地水田において,T-N(NH4-N,NO3-N,NO2-N,Org-N),T-P等の水質浄化を水管理と農地利用の相違から検討した.1)水田における灌漑用水の浄化は,灌漑用水濃度が高濃度の場合,灌漑用水量を多く必要とするが,連続的な浸透掛流灌漑が効果的であった.2)水田への流入水(灌漑用水)の水質濃度が高ければ浄化,逆に低くければ流出負荷量が勝り汚濁の排出となる.このことは,水田における水質浄化は流入水の濃度により左右されることを示し,本調査で浸透掛流灌漑を行うことで浄化機能が発揮されることを,より明確化できた.3)水田を畑に利用転換すると,還元状態で機能する脱窒作用が減少し,降雨によりNO3-Nが流出して,印旛沼(閉鎖性水域)の劣化を助長することが危惧された.

著者関連情報
© 2013 公益社団法人 土木学会
前の記事
feedback
Top