2013 年 69 巻 5 号 p. I_123-I_129
ダム湖で問題となっている富栄養化現象は,集水域から流出した栄養塩が, 河川を通じて流れこむことが原因の一つである. そのため,流入河川の水質と集水域環境の関係について,検討していく必要がある.本研究では,全国的な多数のダム湖を対象に,GISを用いて集水域の人口や土地形態を解析した.さらに,これら流域背景と流入河川の総リン濃度を統計的に分析し,年平均の流入河川の総リン濃度を推定する式を作成した.この式を用いて,人口変化に伴う将来の総リン濃度の変化を推定したところ,現在流入リン濃度の高いダムが多い西日本において,特に水質の改善が示された.