2013 年 69 巻 6 号 p. II_175-II_181
家電製品などの耐久消費財では,生産段階と使用段階を含めたライフサイクル全体での電力消費や環境負荷の低減効果は消費者による使用実態によって変化するが,そうした情報が実際に提供される例は少ない.本研究では電球を対象として,製品種類ごとにライフサイクルの環境負荷とコストの評価を行い,製品種類や使用実態との関係を分析しグラフを用いて可視化した.そして,その情報をもとにした消費者に対するアンケート調査によって,使用時間の前提と様々な情報提供方法ごとに消費者の情報の理解度を検証した.その結果,環境情報そのものが製品選択に与える影響は相対的に大きくなかったが,消費者の使用状況に応じたコスト情報などを理解しやすい形で与え経済合理的な選択に導くことで,環境負荷を削減しうる製品の購入を促しうることが示唆された.