2013 年 69 巻 6 号 p. II_227-II_237
産業都市において工場単体ではなく,地区全体の環境改善を図るための物質・エネルギーネットワークの構築が課題となっている.本稿では,物質・エネルギーネットワークの構築に向けた現状のネットワーク分析および火力発電所の熱を近接する産業群で利用する将来シナリオの環境改善効果を分析する評価システムを提示し,特定の産業都市においてケーススタディを行った.その結果,ネットワーク全体で,年間Scope1では119Mt-CO2の削減,scope2では1.56Mt-CO2の増加,Scope3では14.4Mt-CO2の削減,総計では132Mt-CO2の削減効果が推計された.今後は,熱の供給源として火力発電所以外の産業(特に,鉄鋼業,製油精製業)および需要先としての化学産業,民生部門のプロセスモデルを構築し,温度帯を考慮した蒸気・温水搬送システムの検討を進める.