2013 年 69 巻 7 号 p. III_281-III_290
下水汚泥灰からリン回収処理して得られる汚泥アパタイトと処理灰への鉛収着能を明らかにすることを試みた. また両者が鉛収着材として活用可能か検討した. 汚泥アパタイト, 処理灰の鉛収着量, 初期鉛収着率は, 汚泥灰よりも高く, リン回収処理によって鉛収着能が高まることが明らかとなった. また汚泥アパタイトを溶解・再析出させ, 改良することで, 鉛収着量が更に高まることが示された. 処理灰への鉛収着の66%が硫酸鉛生成によることが明らかとなった. pHが酸性から中性に高まるにつれて, 処理灰の鉛収着能は高まり, 鉛脱着率は低下した. 改良した汚泥アパタイト, 処理灰は, それぞれ他のアパタイト, 工業副産物の鉛収着能と比べても同等以上であり, 廃水等からの鉛浄化などに利用可能と考えられた.