2013 年 69 巻 7 号 p. III_325-III_336
水道水の飲用形態に基づき住民をグループ化した上で,住民の環境・健康問題意識,地域環境評価,水道水評価に関する個人特性に違いに着目して飲用形態に影響を与える因子を抽出し,グループ別の特徴を明らかにした.さらに,それらの因子が各飲用形態グループ所属確率に与える影響について,ベイジアンネットワークを活用して構築したモデルを用いて評価した.その結果,飲用形態に特に影響を与える因子は水道水質不安であり,主にこれを解消することで,水道水を直接飲用する人の割合を現状の 40%から最大で 55%程度まで高められると推定された.また,水道水質不安は環境問題意識が高い人ほど大きいことから,環境問題および水道に対する正確な理解と冷静な判断を促進するような働きかけが必要であると考えられた.