抄録
人口減少社会では, 水需要の低減により, 水道施設への投資が不十分になることや, 滞留時間増加による管路網末端部の総トリハロメタン(TTHM)濃度の上昇が危倶される. 本研究では, 将来の水供給システムに対して複数のシナリオを設定し, 維持更新費用とTTHM濃度を指標とした比較分析を行った. また, 人口分布の動態を複数設定し, 人口の偏在が与える影響も分析した. その結果, 高度処理導入のシナリオでは, 一極集中等により過疎地域が拡大した場合, 水質改善の効果は多額の維持管理費に見合わない可能性を見出した. 一方, 管路口径をダウンサイジングするシナリオと分散型水処理を導入するシナリオでは人口分布の動態によらず末端部TTHM濃度の上昇を抑制できることが示された.