2013 年 69 巻 7 号 p. III_55-III_63
本研究では,養殖池における新たな酸素供給装置として液膜式酸素供給装置を用い,従来の水面攪拌式酸素供給装置とのエネルギー性能の比較実験を行った。その結果,本装置は従来型装置と比べ約1.6倍省エネルギーであることが明らかになった。次に,養殖対象物にテラピアの稚魚を用いて養殖実験を行ったところ,本装置は流速が穏やかであったため稚魚の生存率に優位性があることが確認された。しかし,DO値は劣っており従来型よりもテラピアの成長が遅かった。この原因としてはエアーポンプを連続運転したことにより,高温の空気を供給し水に対する酸素の溶解度が低下したためであることが実験的に明らかとなった。このことから,温風曝気を回避することで本装置の有効性を明らかにできると考えられる。