土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
環境工学研究論文集 第50巻
灌漑期実態調査にもとづく水田小流域における汚濁物質の挙動と収支の評価
澤田 育則市木 敦之出井 寛志大久保 卓也國松 孝男
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2013 年 69 巻 7 号 p. III_581-III_588

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抄録

 農繁期には水田から多量の汚濁物が流出し, 水田排水は流域の水環境にとって大きな影響を及ぼしている. 本研究では, 滋賀県の用排水路が分離され, 環境配慮型農業が実施されている水田小流域を対象として, 灌漑期に用排水路にて流量と水質を実測し, 水田由来負荷量の実態を定量的に把握した. その結果, すべての排水路水質で代かき・田植え時期にピークを記録した. 水田からの正味排出負荷量を算定すると, この時期のSS流出量は灌漑期間全体の流出量の80%~95%, 他の項目でも30%~48%を占めていた. この時期のSS粒径は他の時期より小さく, 容易に沈降しないことから, 受水域に及はす影響が大きいものと考えられる. また, 環境配慮型農業の拡張に伴い正味排出負荷畳が減少しており, その有効性が示唆された.

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© 2013 公益社団法人 土木学会
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