2013 年 69 巻 7 号 p. III_639-III_646
ノロウイルスなどの病原ウイルスによる感染症拡大を抑制するには, 流行ウイルス株の早期検出・同定が必要である. しかし, 現在一般的に用いられているウイルス遺伝子検出・同定手法では, 試料中の相対的存在割合の高いウイルス株の遺伝子型しか同定できず, 流行している遺伝子型分布の把握や新型の流行株の検出ができない. 本研究では, 下水試料中に存在するノロウイルス遺伝子の塩基配列をパイロシーケンシンク法により読み取り, 遺伝子型の同定を行った. その結果, 多数の配列が存在したGI/14型やGII/4型のみでなく, GI/6型やGII/2型といった得られた配列数が少ない遺伝子型の検出に成功した. また, 得られたシーケンスに対してノイズ除去処理を行うことにより, 信頼度の高いOTUを作成することに成功した.