2013 年 69 巻 7 号 p. III_647-III_656
現在,アジア地域のみならず世界的な水問題に向け,下水再生水を安全に利用するための国際規格作りが検討されており,今後,再生水の利用促進が期待されている.再生水を様々な用途で利用する際,特に病原微生物の感染リスク管理が重要である.本報ではケーススタディーとしてUF膜処理によるパイロットプラントでの再生水を農業利用した場合を想定し,再生水の農業従事者と消費者に対して,ノロウイルスを対象に定量的微生物リスク評価を行った.その結果,消費者に対するノロウイルスの感染リスクは,農業利用されている河川水を直接利用した場合と比較して,UF膜処理単独で約26倍,凝集沈殿+UF膜処理で約140倍のリスク低減効果が期待でき,農業への利用価値は高いと考えられた.