土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
環境工学研究論文集 第50巻
低pH抽出法及び酵素抽出法を用いた養殖カキからのノロウイルスの定量検出
伊藤 紘晃真砂 佳史植木 洋渡部 徹
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2013 年 69 巻 7 号 p. III_657-III_665

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抄録

 カキ中腸腺からのウイルス抽出において, ウイルス抽出液のpHの効果,及びアミラーゼによる酵素処理の効果を比較し, それぞれの効果を利用した抽出法がノロウイルスの定量検出に有効か評価した. カキ中腸腺に添加したマウスノロウイルスの回収試験においては, pHが低くなるほどウイルス回収率が高くなることが示された. また, 低pHの抽出液による回収率はアミラーゼ酵素処理による回収率よりも高かった. 一方, 養殖カキからのノロウイルスの定量検出においては, 低pHの抽出液よりもアミラーゼによる酵素処理を用いた方が検出頻度が高かった. カキに添加したマウスノロウイルスとは異なり, 中腸腺内で有機物に強く結合したノロウイルスを解離させるためには, アミラーゼによる酵素処理が有効と考えられる.

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© 2013 公益社団法人 土木学会
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