2013 年 69 巻 7 号 p. III_657-III_665
カキ中腸腺からのウイルス抽出において, ウイルス抽出液のpHの効果,及びアミラーゼによる酵素処理の効果を比較し, それぞれの効果を利用した抽出法がノロウイルスの定量検出に有効か評価した. カキ中腸腺に添加したマウスノロウイルスの回収試験においては, pHが低くなるほどウイルス回収率が高くなることが示された. また, 低pHの抽出液による回収率はアミラーゼ酵素処理による回収率よりも高かった. 一方, 養殖カキからのノロウイルスの定量検出においては, 低pHの抽出液よりもアミラーゼによる酵素処理を用いた方が検出頻度が高かった. カキに添加したマウスノロウイルスとは異なり, 中腸腺内で有機物に強く結合したノロウイルスを解離させるためには, アミラーゼによる酵素処理が有効と考えられる.