抄録
日本近海の深海域に存在する新エネルギー・金属資源の将来的な利用に関連し,原位置に既に生息している微生物の機能を活用することで鉱物の析出を促進させ深海表層堆積物の固化効果を得る原位置地盤改良技術の可能性について検討した.富山湾内において海洋調査船を用いて海水面から水深750mまでの海水サンプルを採取し,室内で馴培を行った後に炭酸カルシウム析出促進試験を実施した.その結果,(1)1ヵ月程度の事前培養で海洋表層・深層水由来のウレアーゼ産出微生物活性を高めることができる,(2)海洋表層・深層水由来のウレアーゼ産出微生物を用いることで炭酸カルシウムの結晶析出効果が期待できる,ことが明らかとなった.