抄録
廃水処理汚泥中には人為的に分離培養された微生物が存在しない系統分類群(未培養系統分類群)が未だ数多く存在しており,それらは生理機能が不明であるために廃水処理機構の理解を妨げる原因の一つとなっている.本研究では,廃水処理汚泥中に存在する門レベルの未培養系統分類群に関する基礎的知見の収集を目的とし,17種類の廃水処理槽から54種類の廃水処理汚泥を採取し,超並列16S rRNA遺伝子解析により未培養系統分類群の出現パターンを解析した.各種廃水処理汚泥より合計1,041,539リードの16S rRNA遺伝子配列を解析した結果,微生物群集構造の違いは処理対象廃水種と処理方式に依るものが大きいことが示唆された.廃水処理汚泥中の門レベルの未培養系統分類群の出現パターンからこれら微生物が存在する環境条件を推定した.